小学生の頃の思い出話

小学1年生から3年間同じクラスだった女の子がいた。
当時は男女別に出席番号が割り振られていて、お互いあ行で始まる名字だったので、2人ともずっと出席番号1番だった。
教室での座席も男子の列と女子の列に分かれていて、席替えが行われるまでは出席番号順に座るので、毎年4月は隣どおしの席から始まっていた。なので自然と話す機会も多くなり、結構仲良くなった。僕はその子のことを好きになっていた。そして彼女も自分を好きでいてくれてるような気がしていた。

ある日、その子と話をしてる内に「好きな人の名前を紙に書いて見せ合おう」という流れになった。
僕は勇気を出し、ノートの切れ端に彼女の名前を書いて、隣の席にいる本人に渡した。その子からも、好きな男子の名前が書かれたファンシーなメモ帳の切れ端を受け取った。
おそるおそる紙を開くと、5人の男子の名前が書かれていた。仲のいいクラスメイトの男子達の名前。そして僕の名前は3番目に書かれていた。
「3番目……」
たしかに一瞬引っかかった。ただ不思議なことに、「自分の名前が書かれていた」という事の嬉しさの方が勝っていた。他の男子の名前はボヤけているような状態になっていった。
彼女の方を見ると、僕の顔を見て微笑んでいた。お互い見つめあったり、顔をそらしたりして照れあっていた。
これは両思いなことを確認し合う作業だったのだ。彼女は5人の名前を書いていたけど。
でも両思いには違いなかった。順番はどうあれ。
マンガの表現でよくある、周りにお花が咲いてるような雰囲気に思えた。僕の名前を3番目に書いていたのに、彼女もその雰囲気を出していた。
今思うとなんかおかしい気がする。でもなんか憧れの恋愛マンガみたいなシチュエーションの雰囲気に酔っていたのかもしれない。

そこからハッキリ言葉にしなかったけどお付き合いするみたいな雰囲気になって、その日は一緒に下校した。
当時男女2人で帰るなんてからかわれる対象になりそうなもんだけど、うまいこと途中で合流したんだと思う。

次の日、またあらためて手紙を渡しあった。自分が何を書いたかは忘れてしまったけど、もらった手紙には「これからも仲よくしてね。〇曜日と〇曜日はあそべるよ!」みたいな事が書いてあった。お互いもう3番目に書いていた/書かれていたことなんて忘れていたような気がする。

ただその告白以降特にデートしたりすることもなく、普通に話すくらいで過ごし、次の年にはクラスも別々になり、話す機会すらなくなった。さらに彼女は引っ越す事になり、転校してしまった。大人しい雰囲気の子だったけど、転校先で不良になったという噂が流れてた。

そして、その時もらった手紙はまだ引き出しの中に残っています。怖いですよね

おわり